免税店の店員


東京駅近くの喫茶店でウェイトレスを始めて2年近くたったころ、毎週購入していた「とらば〜ゆ」という求人誌に、サイパンの免税店のスーパーバイザーという職種で募集が載っているのを見つけました。この募集を見た途端、これだ!と思いました。
サイパンには学生時代の友人と一度いった事があり、もう一度行ってみたいと思っていたところだったし、海外で仕事ができるという事が自分にとって魅力でした。

早速、この求人に応募し面接を受けました。
結果は、本採用ではなく、補欠という事で、もし、採用になった人たちの中で断った人が居たら繰り上げ採用になるという状態でした。
でも、どうせ断る人などいるわけないと思っていたので、暫くはウェイトレスを続けなくてはいけないと、がっくりしていました。

ところが、採用になった内の採用になった人達の内の一人がいきなりキャンセルをしたようで、私が繰り上げ採用になったと連絡がありました。
そして、それから1ヶ月くらい後にサイパンに出発しました。

一ヶ月グアムで研修を受けて、その後サイパンでスーパーバイザーとして働い始めました。スーパーバイザーと言っても特別なものではなく、現地の店員さんに仕事を教えながら自分も店員としてお店に立つと言う仕事でした。

一緒に日本から来た同僚たちはみんな個性の強い人たちばかり。今までアメリカに留学していた人、フィリピンで海外協力隊の一員として働いていた人、オーストラリアで生活していた人など、自分とは比べ物にならないくらい、海外を知っている人たちでした。そんな中で、取り残されたように、毎日目立たずひっそりと仕事をしていました。

人に物を売るという仕事自体もあまり自分の得意な仕事ではないと感じ始め、日本にいた時と同様、毎日思い悩む日々を過ごしていました。

青い海、白い雲、白いビーチも毎日見ていると飽きてしまい、日本のどんよりとした曇りの日や寒い冬が懐かしく思ったりしました。でも、衣替えがなく、洗濯が楽なのはいいなと思いましたが。
日本を抜け出して海外に行ったからって悩みが解決するわけないと、あらためて思いました。


自分には何が合っているんだろう・・・いつまでもそのことが頭から離れず、自分らしい仕事がしたいという事だけなのに、どんどん暗闇に落ちていくような感じがしていた頃でした。

そんな状態だったのに、結局5年もサイパンに滞在していたのは、この地で知り合った人と結婚して、子供を二人授かったからでした。
しかし、下の子が1歳になる直前に、離婚することになり、二人の子供連れて日本に帰りました。

この時は、充実した自分らしい仕事がしたいという悩みはひとまず頭の片隅に置いて、これからどう子供を育てていくかで頭の中がいっぱいだったように記憶しています。